東谷津レポート その30

2008.11.13(木) 山梨 晴れ

 

もう11月の半ばだ、この頃になると谷津田の周辺の里山は寒暖の差が激しくなり、咲いている花も滅きり少なくなって来た。昆虫とかの生物の姿も急に少なくなり、見つけるのは大変になるがいざ見つかると、彼等は皆一応に動きが鈍くて観察や写真撮影には絶好なのだ。そしてまた彼等は、冬越しの準備もしなくてはならないはず、体温が上がるのを待っているのだろうか。あるものは卵や幼虫に姿を変え、あるものはそのままの姿で巣穴を探し、またあるものは仲間と一緒にかたまって暖めあいながら春を待つ場所を。

見つからなければ生きながらえない厳しい現実が間近に迫っているのを知ってか知らぬか、じっとしていて動かない。そんな昆虫達を観察していると、何やら羽毛のような白いかたまりがスーっと横切った。風もないのになんだろう・・・目で追って行くと、上に行ったり下に行ったり、明らかに飛んでいるのだ。生き物だぞ、さらに追う。木の葉に5mm程の小さな虫がとまっていた。

「動くなよ!!」慌ててカメラのレンズをマクロに換え準備が整うまで、この虫数分の間その場に留っていてくれた。液晶画面でアップにしてみる(今のカメラこんなことも出来るのだ)と、何と白く見えたのは、全身に生えた綿のような毛であった。雪国では初雪が降る前に雪虫がとぶと言う、家に着くなり、ユキムシを頼りにh/pで検索、「ワタムシ」だとのこと、なんとアブラムシの一種だそうだ。

予期せぬものを初めて観た知った、なんだか得した気がする。
 


センチコガネ:森や草原の掃除屋、糞中の一種である。センチは便所を指す語「雪隠」がなまったものでフンに集まる性質からこの名がついたとのこと。雌雄は協力して獣糞の下に穴を掘って巣造りをし、糞を引き込んで幼虫のために食料として貯蔵、卵から孵化した幼虫はその獣糞を食べて育つという。(ファーブル昆虫記弟5巻下に詳しい)糞を探しているのか金属光沢でピカピカした体でうろついていた。
 


オオハナアブ:体長16mm程、寸胴で毛むくじゃら、黄色い腹巻きがよく似合う。後足で羽の掃除かな。複眼には奇妙な模様がある。
 


バッタ(コバネイナゴ?)の後尾:カヤの葉にとまってこれから後尾なのかな? 接近してパチリ、邪魔した御免!!
 


コハナバチの一種(ハラナガコバチかな?):体長1・程のコハナバチが仲良く食事中、いやいや地中にある巣で待つ次世代への花粉を集めているのかも知れない。
 


ワタムシ:体長5mm程で飛んでる姿は塵のようだ。羽が生えて飛ぶことが可能になったアブラムシの仲間とのこと。
 

 

東谷津レポート その29

2008.11.4(土) 山梨 晴れ

 

今日は谷津田にちょっとだけ寄り、久し振りに多峯主山に向かった。

途中の山道沿いでは秋の草花も時期を過ぎ、気の早いものは次の世代へと実を落とさんとしている。それでも受粉を手伝ってくれる昆虫達も少なくなったこの時期を選んで花を咲かせているものもある。何故だろうと疑問に思い調べてみると、秘策があった、閉鎖花(なんと花が開かずに種になるとのこと)なるもので子孫を残す仕掛けをちゃんと身に付けているのだ。"キッコウハグマ"あまり陽のささない植林地の道端で小さな小さな花を付けてひっそりと咲いているが大部分が閉鎖花のようだ。"カンアオイ"こちらも陽のあたらない木陰で地面すれすれで落ち葉に隠れて咲き、アリが受粉を手伝っているらしい。

どちらも道端にあるのだが足早のハイカー達は気付かないで通り過ぎて行く。カメラを向けていると「なに撮ってんですか〜」、落ち葉を分けてカンアオイの花を見せてやると「わ〜これが花なんだあ」、知ったかぶりして、にわか仕立ての説明を加えてやる。ハイカーの足を止めるのも楽しいものだ。
 


多峯主山山頂から秩父方向をのぞむ。
空気の澄むこの季節には、幾重にも重なった奥武蔵の山並とその奥に武甲山がよく見える。(左上)
 


キッコウハグマ:林道の木陰で咲く小さな花だ。3つが集まって直径8mm程のひとつの花になっているが、ここまでアップにしないと分からない。
 


キッコウハグマの閉鎖花の種:閉鎖花は花を開かずに種になるという。これがその種だ、やがて冷たい北風にのって旅立つ。薄暗い植林地ではほとんどが閉鎖花だ。
 


コウヤボウキ:雑木林の下の方で咲く、ほとんどが咲き終わった中で遅咲きのものが目についた。高野山では今でもこの枝先を集めて小さな手ボウキをつくって使っているとのこと。
 


カンアオイの花:地面すれすれに咲く変てこな花、落ち葉に埋もれている。
 


カンアオイの葉-1:この日見られた2種類のひとつ
 


カンアオイの葉-2:これがもうひとつの方だ。
 


ツルリンドウの実:薄暗い植林の木漏れ日の中で輝いていた。花は来年までお預けだ。
 


チゴユリの実:葉は紅葉し、そろそろ落ちてしまいそう。(花はレポート-14参照)

 

 

東谷津レポート その28

2008.10.18(土) 山梨 晴れ

 

10/17,18,19で全国雑木林会議が『弟16回全国雑木林会議in飯能』としてここ飯能で駿河台大学キャンパをメイン会場にして開催された。そこでてんたの会の活動も全国版でアピール出来る絶好の機会、これを逃してなるものぞと協力することにし、その1つとしてエコツアー「歴史の残る街歩きと里山散策」を企画した。(他、分科会、パネル展示、模擬店でも参画した)

ツアーは街の歴史を見て歩き、隣接する里山を散策するコースを設定し、里山散策の途中に谷津田で昼食という仕掛けで、このツアーの成功はこの昼食如何であると担当者は勝手に思い込んで朝から準備に取りかかった。ムカゴご飯と豚汁という得意の献立、しくじるはずもなく11:30の予定にジャストインタイムでツアー客を迎えた。

ツアー客は、北海道、三重県、長野県、埼玉県内から総勢9名で、ほとんどの参加者がムカゴご飯は初めてとのことだったが、皆、おかわり、釜の底のおこげまでほうばって大好評でした。満腹のおなか抱えての後半の山歩き大丈夫かいなと思う程で、スタッフも大満足の一日でした。
 


夏草を刈り取りスッキリした休耕田。

 


ツアー客様の到着だ。
 


用意したムカゴご飯と豚汁。谷津田の一級シェフの手にかかると御覧の通り。
 


皆それぞれに陣取り、絶品にしばし声も出ず無心に食らいついている。
 


これが今回の献立の主役ヤマノイモのムカゴ(他との交配によって実を付けたものでなく、親の遺伝子だけをもつクローン)だ。もちろん野生のものだけを使った。
 

 

東谷津レポート その27

2008.10.5(日) 山梨 pm12:10 晴れ

 

月例の(財)さいたま緑のトラスト4号地の見回りの後、谷津田に向かった。10/18に予定しているイベントで使う山芋のムカゴ集めだ。(ムカゴの炊き込みご飯のためのもの)今年は昨年と違いたくさんある。まだヘビが元気に活躍しているのでマムシに注意しながら薮に足を踏み入れ、1つ1つ手で取って集めて行く。

途中、天覧山裏の北斜面で、ようやくあたって来た陽をあびてシュレーゲルアオガエルが竹の節で安定した足場を確保して器用に留っていた、まだ寝たりないのかうつろな目をしてじっとしている。そっとしておこう。

谷津田の池は先日の作業のためか程よく水が保たれよい状態だ。そんな池の中で一匹のカマキリが水に落ち、何かひも状のものがついて泳ぎにくそうにもがいている。よく観るとハリガネムシが宿主であるカマキリから脱出しているところだ、ついに見たぞ!!『ハリガネムシは、幼虫時代水性昆虫に寄生して育ち、その後、終宿主となるカマキリなどの陸生昆虫の体内に移動する。成虫になったハリガネムシは、宿主を水を飲みたくなるように刺激して水辺まで誘導し、脱出して水中に戻り自由生活を送る。』のだそうだ。長さ15・、太さ1mm程でまさに針金のような昆虫の何処にこのような能力があるのだろうか、不思議なものだ。(いろいろ調べてみると、宿主の腹部がたまたま水に付くと、それを感じて出てくるとの記載が多いが、私は前者を信じたいが・・・)

そんなことを思いながら昼食のおにぎりを食べ、ムカゴを採りながらひと山越えていつもの順路を帰ることにした。と、同行者が声を上げた「きれいなチョウチョほら見て!!」と指差している。食事中のアサギマダラがシルエットとして浮かんだ。


シュレーゲルアオガエル:ようやく陽がさした北斜面の木もれ日の中で暖まっているのかじっとして動かない。根本から2メートル程の高さまで登っていた。
 


カマキリから脱出するハリガネムシ:池のふちの不安定なショウブの葉の上にいたカマキリが池に落ちた。と、そのカマキリの腹部末端からハリガネムシが出て来た。(カマキリのお尻の部分から細く出ているのがハリガネムシ)
 


ハリガネムシ:カマキリの腹部末端からでてきたばかりのハリガネムシ。トレイに入れて観察。触ると堅めな感触、うねうねと動き回るが水中では前進できず、ただもがくだけ。(体長15・、幅1mm程)
 


仲良く食事中のアサギマダラ♀(下)とクモガタヒョウモン♂(上)
 


アサギマダラ:長い距離を移動することで知られる蝶。雌雄ははねの模様では違いがないないというので、この個体はどちらか不明。ふわふわと優雅に花から花へと移動していた。
 

 

東谷津レポート その26

2008.9.28(日) 山梨 am9:30〜pm3:00 晴れ

 

まず前回の訂正だ。植物の名前を間違えてしまった。
  ・レポート-24:(誤)フクシマシャジン ⇒(正)ツリガネニンジン・・・このレポートの写真は2枚ともツリガネニンジンであった。
  ・レポート-25:(誤)ヤマホトトギス   ⇒(正)ヤマジノホトトギス
          (誤)オトコエシ       ⇒(正)ヒヨドリバナ
          (誤)イヌトウバナ     ⇒(正)イヌコウジュ


 
さて、今日は第四日曜日で谷津田の定例作業日だ。午前中の里山復活プロジェクト、午後の東谷津の作業と1日中よく働いた。物置小屋周辺の野草ミゾソバやアキノウナギツカミの群生も花が終わりかけ、夏の装いから秋の装いへと移りはじめて赤とんぼが似合う季節になって来た。暑い夏を涼しい山地に移動して、避暑と洒落込んだアキアカネもそろそろ平地に降りて来て、ナツアカネと赤とんぼの競演で一気に秋が深まってゆくのかな。
 


ミゾソバとアキノウナギツカミの見事な群生、花も終わりかけて秋の気配が感じられる。物置小屋の屋根も野草でいっぱいだ。

 


ケラ:谷津田の畦を手入れしていると、土中で生活しているケラが出て来た。オケラの愛称で親しまれている谷津田の代表的な昆虫の1つだ。体長3mm程で体中に細かい毛が生えビロードのような肌触り、水面を泳ぎ、空を飛び(写真の個体はまだ羽が短く飛ぶことは出来ないだろうが・・・)、土の中にもぐる何でもござれで忍者のようだ。チョコチョコ動きじっとしていないので撮影用のケースに入ってもらった。
 


ホタルガ:ミゾソバ、アキノウナギツカミの群生の中にあったイヌタデ?の枝先でじっとしていた。あの幼虫がトトロのネコバスそっくりのシロシタホタルガかと思いきや、ただのホタルガであった。羽に入ったV字形の白い線がその証拠、シロシタホタルガは真横に入っている。それ以外の外見はほとんど同じで間違いそうだ。
 


ヨウシュヤマゴボウ:北米原産の帰化植物とのこと。根っこが大きことからゴボウの名が付くが有毒で食べられい。この植物は、つぼみ、花、青い果実から熟した果実まで付けている。写真の左上の白いのが花だ。観光地でヤマゴボウの漬け物として売られているのはアザミの一種の根か食用のゴボウを漬けたもの、間違ってもこちらのヤマゴボウは食べてはいけない。
 


これはナツアカネそれともアキアカネ?どちらだろうか、谷津田に赤とんぼが似合ってきて秋の気配。
 

 

東谷津レポート その25

2008.9.14(火) 山梨 am9:30〜pm2:00 晴れ

 

前回の谷津田レポート-24の"日よう日ふる里散歩"「秋の風を感じよう」での山野草の観察会に同行し記録した続きを掲載することにしよう。

 

林の木陰で咲くヤマホトトギス。
 


ナンバンギセル:ススキ、ミョウガなどの根に寄生しているので、ヘビに気をつけながら根本を探すと見つかる。地上に花茎だけを伸ばし、西洋パイプに似ていることが和名の由来とか。種子は世界でも最少級で花の終わった果実に粉のように何万個も詰まっている。
 


ツユクサ:草原でよく見かけるが、早朝から咲き昼頃にはしぼんでしまう。まるで、はかない露のようであると言うのが名の由来。花が閉じる時に自家受粉するのだそうだ。
 


ゲンノショウコ:長い花柄の先に花をつける。言わずと知れた民間薬、煎じて下痢止めや健胃剤とした。その優れた薬効が名の由来(現の証拠)。西日本では、赤紫色の花が多いとのことだ。
 


オトコエシ:オミナエシ(女郎花、秋の七草のひとつ)に対し、茎は太く葉も大きく全体に強壮な雰囲気をもっているのでオトコエシ(男郎花、七草には入らず)。
 


シラヤマギク:花びらが少なく散ったようにみえるが、左右のつぼみを見た通りこれが本来の花である。
 


オケラ:魚の骨のような変わった苞葉に包まれるように咲く。キク科には珍しい雌雄異株とのこと。雄花は柱頭の先端が開く程度で雌花は反り返るとのことだが、これは雄花か? 若芽は人気が高い山菜。
 


ヘラオモダカ:水田や溝など浅い水中に生える。枝をいっぱいだし小さなはなを先端につけている。
 


コケオトギリ:池のふちなど水辺に生え、背が低くて踏みつぶしそうな野草。花も極小だ。
 


イボクサ:池のふちで咲いていた。湿った場所を好み田んぼによく生えるので稲作では嫌われる、この草の汁をイボに付けると取れるとされてこの名が付いたとのこと。花は1日でしぼむ。
 


ハグロソウ:背が低く林間の下の方で咲いていた。
 


イヌトウバナ:湿り気のある道端でよく見かける背の低い野草。花の穂を塔に見立ててこの名がついたと言う。
 


キツネノマゴ:草原や道端でよく見られる背の低い野草で薬としても遣われていたようだ。
 


マツカゼソウ:松風草の名のとおり、風情のある極小さな花が風に揺れていた。長く突き出ているのは雄しべ、ミカン科の植物で唯一の草花。

 

東谷津レポート その24

2008.9.14(火) 山梨 am9:30〜pm2:00 晴れ

 

今日は母体であるてんたの会(NPO法人 天覧山・多峯主山の自然を守る会)の月例イベント"日よう日ふる里散歩"「秋の風を感じよう」で山野草の観察会に同行することにした。

秋の野草が次々と花開くこの時期、専門家の説明を聞きながら確認、記録する絶好のチャンスだ。朝の雨もあがり絶好の観察日和、集合場所の能仁寺山門前に20名程の参加者集まった。スズメバチやマムシへの注意などの説明を受けて出発、通常ブラブラ歩いても30分程もあれば廻れるコースを、途中昼食を入れて4時間余りかかった。やはりこのフィールドは植物が多いのだ。おおよそ50種類もの説明付きの観察が出来た。

たくさん記録できた写真を2回に分けてレポートしよう。観察コースは、能仁寺東側の諏訪沢入り⇒東谷津⇒神久山肩⇒山道沿い⇒ほたるの里⇒能仁寺山門前*関連記事が当h/pのイベント情報「日よう日ふる里散歩報告」コーナーにも有ります。


ミヅタマソウ:これは果実、白い毛が密生し毛むくじゃらだ。花はこの果実の先端に咲くが時期を逃してしまった。林の中に低く自生しているので目立たないのだ。


サクラタデ:タデの中では最も美しく大きい花(直径8mm程だが)、背が高く湿った草むらで飛び出している。雌雄異株でこの写真は雄しべが長いので雄花のようだ。
 


ツリガネニンジン:林の脇の草地に生える。フクシマシャジンとよく似ているが、花は輪状につく。
 


フクシマシャジン:林の脇の草地に生える。ツリガネニンジンとよく似ているが、花は輪状にはつかずまばらにつく。葉形にも違いがみられる。
 


ノササゲ:林の脇の草原に生えるつる性植物、花が落ちると鞘豆をつける。
 


ヤブマメ:林の脇の草原に生えるつる性植物、薮で多く見られることでこの名がついたとのこと。花が終わると鞘をつけ、葉が枯れた頃種子が飛び出す。また、秋に根本からつるを伸ばし、自家受粉で土中に実を結ぶ閉鎖花をつけ、地上と地下に果実を実らせる珍しい生態であるとのことなので、地下の果実を観て見たいものだ。


ヌスビトハギ:木陰でよく見かける。小さな花の下に見えるのが鞘を付けた豆、この鞘が盗人の足跡のようでこの名が付いたとのことだが諸説有り。最近ではこの鞘はブラジャーようだとのこと。(そう言われればそうかもね)
 


ヤマハギ:野山の日当たりのよい所に生える。花が美しく、秋の七草の1つに数えらてれる。
 


ミズヒキ:前出のサクラタデと同じタデ科の植物、花は小さくゴマツブ程だ。裏が白く紅白で長い穂を見立ててこの名が付いたとのこと。
 


キンミズヒキ:こちらはバラ科、花は小さく茎から伸びた穂にたくさん付ける。名は黄色い花の穂を金色の水引きに見立てたものと言う。
 


ツリフメソウ:面白い形の花だ。マルハナバチがこの花にもぐって、奥にある蜜を吸うがそのとき背中に花粉が付き受粉を助ける仕組みとのことだ。なるほど、うまい仕組みだ。が、クマバチは大き過ぎて中に入れず、外から噛み切って蜜を失敬する。受粉は出来ず、世の中そうそううまく行かないね。以前、東谷津では見かけなくなったとレポートしたが、数株見つかった。 


 

東谷津レポート その23

2008.9.2(火) 山梨 am11:00 晴れ 気温28.8°水温28.0°  

 

皆様、久し振りです。8月は前半の酷暑と後半の悪天候で谷津田へ行きそびれてしまいました。9月2日久々に行ってきましたのでレポートします。

東谷津ホトケドジョウの里はすっかり夏草に覆われて緑一色です。次回作業は草刈りがメインとなりるでしょう。池は、紙田式水門が機能しており、この所の大水でも池に濁流は入っておりません。また、ムカゴニンジンは今年も健在(少し減ったかな?)で花を咲かせています。

 
8月は前半の猛烈な暑さと後半の雷に怯えて、とうとう一度も谷津田には来ずに終わってしまった。案の定、シュレーゲルアオガエルのオタマは全て上陸が完了しており、四肢の生えたオタマはついに見ることが出来なかった。一年間のお預けだ。

山腹へ続く山道に入ると、コナラの枝先が無数に落ちている。どれもが一応に1、2個のドングリと数枚の葉を付けた枝先だ。これはハイイロチョッキリの仕業だ。この昆虫は、象の鼻のように長く突き出た口吻でドングリの帽子の部分に穴をあけ、中に卵を産みつけて梢の部分から切り落とし、卵から孵った幼虫の餌にする。幼虫はドングリの中身を食べ尽くすと、ドングリから抜け出し、地中にもぐって蛹となる。枝先の切り落としは体長1・にも充たない彼等の一生一度の大仕事なのだ。親は切り落とす方向を知っていて、自分が落ちないで卵を産みつけた枝先だけを落とすようだ。物凄い数が落ちている、中には自分がいる側を切り一緒に落ちる奴がいるかもと探して見たが、そんなドジは見つからず。

キリギリス、バッタの類が目に付き初め、谷津田の周辺は秋の気配だ。

 


コナラの下はチョッキリの切り落しだらけ。

 


ヘクソカズラ:葉や実をつぶすと嫌な臭いがするのでこの名が付いた。それにしても何と言う名を付けたことか。

 


コバノカモメヅル:直径1・程の小さな花をまだ付けていた、つる生殖物。

 


ムカゴニンジン:茎の先が枝分かれし、その先端に小さな花をたくさんつけている。
 


センニンソウ:ほかの植物に覆いかぶさるように絡み付き、白い花を一斉にさかせて目立っている。

 



谷津田の周辺はもう秋の気配。(キリギリスの仲間)



 

東谷津レポート その22

2008.7.31(木) 山梨 am11:00 晴れ 気温30.0°水温26.5°  

 

暑い〜、とにかく暑い〜。谷津田に着くと汗びっしょりだ。物置小屋の縁台でまずは一休み、夏場の朝方(今朝は早めに出たので9時前に着いたのだ)は小屋にはまだ日が差していないので、谷の奥からの風がなんとも心地よい。池を一回り、状況確認だ。

この所の晴天で水路の水量はめっきり減り、池に水があまり廻らない為か、池は濁っている。昨日あたり近くの子供達が来て池をいじった(オタマとかヤゴとかの水中生物の採集とかで)のかも知れない。池底が観えないのでしかなく乱暴に網を入れた。シュレーゲルアオガエルのオタマは相変わらず足の生えたものだけで、手の生えたものは見つからない、何故なのか?

何回か網を底スレスレに払うと、沈澱していた落ち葉のクズの中で飛び跳ねている虫がいる。マツモムシだ!! この虫は背泳しか出来ない変なヤツで、遊泳脚として発達した後ろ足を横に長く延ばしまるでボートのオールのように使い非情に巧く泳ぐ。得意な背泳ぎで、小魚やオタマを捕えては鋭い口吻を獲物に突き刺し体液を吸い取って生きているのだ。

トレイに移して撮影だ、背泳ぎのため腹側は簡単に撮影できた。今度は背中側だが、何度おこしても絶対に背中を上にしてくれない、平泳ぎは苦手なのだ。こうなったら無理にでも腹這いにしてやる。"気をつけろ" 下手に触ると鋭い口吻で刺されることがあり、これがハチのようにかなり痛いらしいことをとっさのところで思い出した。「ああよかった刺されなくて」。

ススキの原っぱでは、ワレモコウが咲き出した。

 


マツモムシ:長い後ろ足をボートのオールのように使っていつも背泳ぎだ。前、中足で獲物を捕まえ、鋭い口吻を突き刺し体液を吸い取るという。飛ぶことも出来るのだ。

 


スジブトハシリグモ?の子供達かな。一塊になっていたが、近づくとサッと広がる。"クモの子を散らす"とはこのことか?
 


オオシオカラトンボ(オス):ヨシの枯れ枝の先端で自分の縄張りを見張っている。
 


ワレモコウ:秋の野山を代表する野草と言っても良いだろう。緑のカヤの葉の中で「我も紅」とばかりに咲き始めた。この花は上から先に咲いて行く。


 



 

東谷津レポート その21

2008.7.15(火) 山梨 am10:30 晴れ 気温27.6°水温23.0°  

 

谷津田はもうすっかり夏の粧いだ。ここ東谷津もムッっとしているが時々谷間を通り抜ける風が何と心地よいことだろう。

池の廻りで観られる草花を撮ってみた。数年前この地に手を入れらることになったときは一面にツリフネソーが咲いていたのだが、年々数を減らし、今年は一株も見つからない。谷津田の自然は手を入れると途端に変化を現すようだ。変わりにミゾソバが浸食してきた。

ヤマアカガエル、アズマヒキガエル達のオタマが変態して上陸、残ったシュレーゲルアオガエルのオタマも3・を超えて、そろそろ変態の気配があってもよい頃と、その最初の徴候である足を生やした個体を探しているのだが、もうずっと見つからない。ヤマアカガエルとアズマヒキガエルは簡単
に見つかったのに・・・。

先日、池の廻りのミゾソバの葉の上で上陸したばかりの黄緑色の個体を見た(残念ながらカメラを構えた時にはもう居らず、残念!!)確実に上陸を始めているのだが。

「今日は見つけるぞ!!]」と探し続けた。水底の大きめで色や姿が微妙に違いのあるのを狙ってサッと網を払う、一緒にすくった泥の中にいるオタマを観察用のトレイに入れ濁りが取れるのを待つ。

「いったあ!!」まだ短いが尾の付け根から足が見えた。ついに発見だ。シュレーゲルアオガエルの場合足が生えると、手が生え尾が退化し上陸するまでが短いのかもい知れない。要注意だ、次は四肢の生えたのをみつけるぞ!!


オオバギボウシ:初期のつぼみ、株の中心から茎を長く延ばし先端に花のつぼみが固まっている。
        この形が欄干の柱頭に付ける「擬宝珠」に似ていことからこの名がついたとのことだ。
 


オオバギボウシ:花茎がさらに延び下のつぼみがら順に膨らんで花を咲かせる。
 


オオバギボウシの花、東谷津「ホトケドジョウの里」の入り口で今年も開花。
 


チダケサシ:チチタケという食用のキノコを茎に刺して持ち帰ったところからこの名がついたとのこと。
      背が高く廻りの野草から飛び出している。小さな淡いピンクの花を密につけて、昆虫たちを
      引き寄せている。

 


オカトラノオ:トラノオとは虎尾のこと、似てるかなあ。小さな星形の花を下から順に咲かせて行く。この花も昆虫
       を引き寄せる。中央にアリが一匹、その上にはハナアブが蜜を吸いにやって来た。

 


アキノタムラソウ:高く延びた茎に輪状に花を付け咲いている。花には白い毛が密生している、なんのためかな?
         名前に秋がつくが花は夏から咲いて長い期間花をつける。

 


やっとみつけたシュレーゲルアオガエルの上陸準備中の足の生えたオタマ。(体長32mm)